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B級的チューナーで遠距離FM受信を楽しもう(その2) [遠距離受信]

前回に引き続き、B級的チューナーで遠距離FM受信しようという企画です。

遠距離FM受信の概念は民放FM4局時代の1970年代にはじまります。

当時は東京、愛知、大阪、福岡の4都市にしか民放FMがなかったので、サービスエリア外からは大きなアンテナを建てて遠距離受信するしかなかったのです。

当時遠距離受信を目指す人はチューナーの感度よりアンテナを重視していたと思います。

その後1982年に5番目の民放「FM愛媛」開局を皮切りにFM多局化時代がやってきて、各メーカーがこぞって新しいチューナーの開発を始めて、安くて高性能なチューナーがどんどん発売されました。これをFM黄金時代といいます。(FM黄金時代についてはステレオ時代Vol.9に特集記事があります。)

下の写真は、「季刊・オーディオアクセサリー 1982秋号」の特集記事ですがこれを見ると当時のFMフィーバーぶりが伝わってくるのではないでしょうか。

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上記の30チューナースクランブルテストでは宇都宮から約100km離れたFM東京(80.0MHz)を遠距離受信するときに、地元NHK-FM宇都宮(80.3MHz)の混信を避けることができるかどうか300kHz隣接局妨害排除能力のテストをしています。

この当時は300kHz隣接局妨害排除能力でよかったのかもしれませんが、コミュニティFM開始後は0.1MHz間隔でFM局がひしめき合うように乱立してきましたので、FM-DXingには300kHzよりさらに厳しい条件の200kHz隣接局妨害排除能力が求められます。

そして2014年から本格的にFM補完放送が始まりました。

元々これはTVがアナログ放送だった時代に使用していた90~108MHzのうち95MHzまでを中波の放送局に開放して難聴地域を減らす計画で始まったのですが、近い将来に民放中波がすべてFM放送に移行することが決定しています。

FM補完放送には76~90MHzを使用している放送局もあるので、FM周波数帯はさらに密になりました。

その一例として山陰放送BSSラジオ(島根・鳥取)のFM補完放送を紹介します。

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出力が500Wと低めなので聴ける範囲が狭く、島根に住んでいても西部はサービスエリア外となっています。

ところが島根県から遠く離れた福岡県内の自宅にあるチューナーで常時受信できることがわかりました。枕木山の送信所から距離にして278km離れています。ルート上には500m級の山が数多く点在し、山岳回折によって電波が到達していると考えられます。

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枕木山(標高453m)の送信所まで278km(出力500W)

これまでは地元局CROSS FM(87.2MHz)の0.1MHz隣接局なので最初からあきらめていたのですが、最近手に入れたSuper Narrow切替のあるチューナーでたまたま受信できました。

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8素子八木アンテナ+Super Narrow切替で偶然受信できたBSSラジオ

もしかしてと思い、ほかのチューナーでも丹念に確認作業すると、Narrow切替にしてファインチューニングで87.07MHzにずらすとちゃんと受信できました。

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レベル0ですが聴感上はシグナル2~3出ています。

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0.03MHzずらすだけで受信状況が劇的に変わります!

現在ほぼ1日中SINPOコード34433(MONO)でゆったりリスニングできています。BSSラジオは「音楽の風車」という長寿番組が気に入って毎日のリスニングが楽しみになりました(^-^)

次回はこのシリーズ最終回「自宅で400km超のFM放送遠距離受信に挑戦!」をお伝えします。


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