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TDKカセットテープ・マニアックス [なつかしのカセットテープ]

5年ぶりにカセットテープのムック本が出ました。

今回の本は記事が少なめでカタログ本みたいな感じです。

内容からすると高めの価格設定ですが、TDKファンにとっては値段関係なく手に入れたい1冊です。

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左から2015年、2016年、2017年、2017年、2023年発行です

非公式書籍のためTDKロゴが使えないのでしょうか、表紙のTDKのロゴマークもどきが本物と微妙に違っていて笑えました。

掲載されているテープは、収集品をWEBで公開しているコレクターから借りて撮影したと思われます。

おそらくこれまで出版されたムック本のなかで、一番多くのTDKのカセットテープを系統だてて写真とともに掲載しているので、このテープって何代目だったかな?とかちょっと調べるのに便利です。

しかしこの手の本が出るたびに毎回言っているのですが、パッケージの表側だけでなくぜひ裏側を紹介してほしいです。パッケージ裏の製品紹介にこそ、当時のメーカーの思いが込められていますので。



TDKカセットテープ・マニアックス (双葉社スーパームック)

TDKカセットテープ・マニアックス (双葉社スーパームック)

  • 作者: 双葉社
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2023/08/07
  • メディア: ムック






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TDKカセットテープ<AD>~コンプリートしました~ [なつかしのカセットテープ]

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歴代のTDK AD 全員集合! なんとマイクロカセットもADです

筆者の思春期の必須アイテム、ズバリそれはカセットテープで、その中でも一番のお気に入りであったTDK ADは50年近くたった今でも当時のクオリティを保ったまま手元に現存しています。

世界初の音楽用カセットテープは1968年に発売されたTDK SDであって、途中数回のモデルチェンジを経て、およそ10年間も続いたロングセラーでした。

その後継テープとして1977年にADが発売されると、その人気はSDを上回るものとなり、20年以上続くロングセラーとなるのでした。

今回は、その大人気TDKカセットテープ<AD>を深く掘り下げて紹介します。


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ここからAD神話が始まった 第1世代AD 1977年発売

初期のTDKカセットテープはストライプのデザインを用いており、のちにBONカセットテープにパクられることになります。(笑)

第1世代ADカセットハーフは既にSAで使用されていたPrecision cassette halfを採用しており、デザイン的変化としては、ハーフ色が従来のベージュ系から紺色っぽく変わり(メカニカルグレー)、細かい格子状模様になったことが他メーカーの製品と一線を画していました。

ハブまわりが丸っこいものから四角いデザインになったことにより、見た目にもハーフ精度がアップしたように感じさせてくれました。

ただこのハブまわりの四角デザインはマクセルのUD-XL(1974年発売)で初めて採用されたもので、その後はTDKだけでなくSONY等いろんなメーカーが真似していくことになります。

また第1世代ADにはC46はなくて、C45であることにも注目してください。


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第2世代AD 1979年発売

1979年に第2世代ADが発売され、性能向上とパッケージデザインの変更がありました。


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第3世代AD 1981年発売

1981年発売の第3世代ADではパッケージ、ハーフ、テープの全てが大きく変わります。

パッケージでいうと例えば90分テープの場合、これまではAD-C90という表記でしたが、AD90というシンプル表記に変わりました。

さらにカセットケースが全透明になると同時に、ADのシンボルカラーである青色はシュリンク包装だけに使用されていて、インデックスカードやテープ本体からシンボルカラーがなくなりました。

ハーフ色もブラックになって、低中音域のテープの感度が0.5dB程度アップしました。


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1982年発売のAD-X

このころからTDKは欲を出したのでしょうか、しばらく迷走することになります。

ADの上位テープであるODの売れ行きが良くなかったのか、AD人気にあやかってAD-Xなるテープを発売するのですが、たぶん思ったほど売れなかったのでしょう、まもなくAD-Sというテープが出てきます。その後さらにARという新たなテープを投入し、最後にダメ押しでその上位のAR-Xというテープまで出てきて、価格設定も複雑だったので、ユーザーはどれを選べばよいのか困惑してしまいました。

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ノーマルテープ混迷の始まり? AD-X(第1世代) AD-S(第1~2世代) AR(第1世代)


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第4世代AD 1984年発売

1984年発売の第4世代ADではシュリンク包装が以前の黒から白へ変更され、ハーフ窓が1.5倍くらい広くなり、テープ性能もアップしました。


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第5~6世代AD 1986~1988年発売

1986年発売の第5世代ADはフルモデルチェンジと言ってよいほどハーフが大きく変化します。

透明部分が拡大してハブが丸見えになりました。それとともにC46では初めてラージハブを採用しました。

シュリンク包装の英数字フォントが以前のゴシック体から明朝体に変わりました。

1988年発売の第6世代ADではハブの形状が変わり、テープ感度もアップしました。


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第7~10世代AD 1989~1993年発売

1989年発売の第7世代AD以降は毎年のようにモデルチェンジをするようになります。

パッケージ上の周波数特性グラフがなくなっているので、中身テープの音響的な改良はないかもしれません。

そのかわり第8世代AD以降はカセットケースが丸みを帯びたデザインで、第10世代ADでは薄型ケースになりヘッドホンステレオやカーステレオでの使用を意識しています。


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第11~13世代AD 1995~1997年発売

1995年発売の第11世代AD以降はMD人気に押されて売れなくなってきたのでしょうか、細分化・多様化していた種類をまとめる傾向が出てきて、ノーマルポジションのAD1、ハイポジションのAD2へとざっくり2つに簡素化されました。マクセルがすでに人気商品のUDをUD IとUD IIに分けていたので、それを真似たのでしょうか。

もしかするとこれらのAD1はかつてのADより周波数特性上の性能が劣っているかもしれません。

そして20世紀のうちにカセットテープそのものがほぼ終焉を迎えることになったのです。

21世紀には確実にアナログオーディオは姿を消すと言われていたのですが、今でもレコードは売れているし、カセットテープで新譜を出すアーティストもいるみたいで、この先どうなっていくかとても楽しみです。

ここまで歴代のTDK ADを全部紹介しました。

最後に全部のパッケージの裏面を紹介して終わりにします。

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第1~5世代TDK AD 第4世代から社名がTDK株式会社になりました。


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第6~10世代TDK AD


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第11~13世代TDK ADとAD-XおよびAurex AD(第3世代TDK ADのOEM)


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